今回は、私が代行して入札した物件の開札結果を聞きに、地方裁判所の開札会場で実際にあった珍しい開札についてお話します。
いつものように、各封筒の開封作業を行い、入札金額の読み上げが始まり、次々と最高価買受申出人が決まっていきます。
何件か読み上げられた後、なんと端数の一円単位までちょうど同額での入札があったのです。別に最低売却価格ちょうどというわけでもありません。
ちなみに一方は不動産業者で一方は個人です。
まず裁判所の担当者は、ご本人(社長)はお見えになっていますか? と尋ねましたが双方とも来ていません。
続いて「代理の方は?」と尋ねると、一方は奥様が、一方は社員(新入社員かな?)が来ていました。ですが双方とも委任状はもっていませんでした。
ここまで条件はまったく同じです。
さて裁判所はどう判断するのでしょう。担当者の出した結論は、ジャンケンでした。
不動産という高額の物件取引とは思えない光景でしたが、わざわざクジを作る手間を考えると妥当なところかもしれません。
お互い初対面の大人がジャンケンというのはさすがに照れ臭そうでしたが、結果的には奥様が勝ちました。社員の彼は会社に帰って果たしてどんな報告をしたのでしょうか。言いにくいだろうな〜と他人事ながら思ったものです。
この日はもう一件、同じようなケースがあり、ジャンケンをしていました。偶然で一円単位まで同額なんて、まず有り得ないと思っていましたから、この日の事は正直ショックで改めて委任状をちゃんと持ってきたか確認してしまいました。
この日以降は、お客様にも不動産の購入なんて、一生にそう何度もないのですから、せっかくの開札日位は、ご本人がおいでになることをお勧めするようにしています。
私が当事者であったならと思うとゾッとします。ジャンケンで負けて買えませんでしたなんて・・・プロの代理人として言えてものではありません。