家屋の明け渡しは、相手のこれまでの生活の場を奪うことです。その為、修羅場もドラマも生まれます。
家屋明け渡しの強制執行は執行官が行います。作業員を連れて現場に赴き、作業員が執行官の指示のもと家財道具を全て運び出します。この時、鍵も付け替えます。
占有者がヤクザ屋さんのときは、話が早くていいと。理由はシンプルで、ヤクザ屋さんが物件を占有するのは債権の回収や、立退き料などの「お金」が目的だからです。いずれも金額さえ折り合えば話がつき、法外な行為をしつつも法外な額が出ないことは彼らも知っていますから、わざわざ執行官に手間を掛けさせることはありません。※強制執行妨害罪を「覚悟」している特殊なケースは例外です。
しかし・・・一番困るのは老人・病人・子供です。
移転先のないこういった人を立ち退かせるのは、いくら法的に可能であっても人道上問題だからです。
郊外の一軒家の明け渡しに、執行官と現場に赴いたところ、家の中には債務者の年老いた母(お婆さん)だけがいました。
事情がわからずおろおろするお婆さんを前に、強制執行を行うわけにもいかず、執行官と相談の上、このままだと強制執行を行うことになるので、必ず息子さん(債務者)から私に連絡するように伝えて帰りました。
結局この事件は、後日姿を隠していた息子(債務者)がお母さんを引き取りに来て、建物を明け渡し、無事に解決しました。